最近読んだ「たった一度でもすべてをかけたことがあるか」(著:チョン・ソンミン)の中で度々引用されていた日本の実業界のレジェンド・永森重信さんが気になって著書を手に取った。お名前は知っていたけれど、「昭和の頑固おじさん」「パワハラ社長」のイメージが強くて、著書にはなかなか手が伸びなかったけど……もっと早く読んでおけば良かった。

こんな時に役に立つ本

仕事をしていても、どこか全力になれない。なまじ経験値ばかり増えてしまい、余力を残しながら日々の仕事をこなしている。「できない理由」よりも「できるための方法」を考えるべきだと頭では分かってはいる。モチベーションがついてこない。ワークライフバランスが良い、といえば聞こえはいいが、燃えていない。満たされない。
この枯渇感を解消できるのは、『挑戦』しかない。ワークライフバランスなんてものは決して解決策にはならない。「成しとげる力」を読むとそれが分かる。Amazonレビューにもある通り、今の時代の価値観に照らせば「ただのブラック企業じゃねーか」とツッコミたくなるエピソードも多いし、まるで飲み屋でおじさんの武勇伝語りに付き合わされてるのかと錯覚さえ覚える。
しかし学びはある。「ホワイト企業」「ワークライフバランス」など、働きやすさは整備されてきた。でも、そこに充実感がついてこない。そんな得たいの知れない不安に、本著は明快な答えを示している。
タイトル | 成しとげる力 |
著者 | 永守重信 |
発行 | 2021年11月15日 |
ページ数 | 275 |
オススメ度 | ★★★☆☆ |
筆者にはここが刺さったよ
一番以外はビリ(P46)
どの業界でもシェア1位の企業が圧勝し、2位以下は”その他大勢”にしかなれない。だから、一番を目指すべきという主張。まぁ、自動車業界のように分かりやすい構図(=トヨタの一人勝ち)もあるけれど、厳密には1位と2位が拮抗してるような業界(カメラとか缶コーヒーなど)もたくさんある。ただ、「マーケティング22の法則」なんかにも通じるけど、顧客の知覚を勝ち取ることは成功の上で非常に重要ない。コーラといえばコカ・コーラ、というカテゴリー占有がどんなに最強なことかは想像に難くないものね。
仕事でたまったストレスは仕事でしか解消できない(P75)
「確かに…。」電車で読んでいて、つい口から漏れた一文。 仕事帰りに飲みに行く。人によっては暴飲暴食をする。僕ら現代人は「仕事以外の何かで仕事のストレスを解消する」という行動をとりがちだけど、それって対処療法にしかならなくて、結局は仕事が上手くいけば仕事のストレスって吹っ飛ぶんだよな。
とかく頭のいい人間に限って、できない理由をとうとうと述べたてる(P107)
まず予防線を張ると。自分の頭がいいとは思っていないが、なんか耳が痛い「こうでこうだから、できません。現実的ではありません」みたいな、「できないことの証明」に頭を使ってしまってることはないだろうか。本当に会社のリスクになるなら仕方ないけど、「面倒ごとを引き受けたくない」っていう自分ファーストになってしまう瞬間。あるよね、ぶっちゃけ(笑)猛省ですわ。
次に読むべき本
仕事で成功したい、新しいチャレンジをしたい - 「何かに挑戦してハートを燃やす」モチベをぶち上げたいなら、「一度でもすべてをかけたことがあるか」はオススメ。

ビジネスパーソンにとっては永守重信と稲森和夫の著書は2大レジェンド・おじさん系啓発本なので、稲盛和夫を読んでいないなら「生き方」「働き方」あたりは読んでおきたい。
今回の「成しとげる力」にある「一番以外はビリ」という哲学は精神論ではなくて、市場が証明している。「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」は日本電産がシェア1位にこだわった理由がよくわかる本。